いつだって一寸先は闇

をたくの備忘録です。

安西くんとわたし

完全な備忘録

 

6年前に、テレビの画面越しに安西くんに出会った。

 

 

3つ年の離れた姉の友人が自宅に遊びに来た際、あるDVDを私も一緒に見た。

 

ミュージカル『テニスの王子様』青学VS四天宝寺

 

元々漫画が好きだった私は、その時代をときめいていたテニプリも大好きだった。中でも、四天宝寺中学の部長である白石蔵ノ介くんのことがすごく好きだった。

 

何気なく見たそのDVDには、大好きな白石蔵ノ介くんが同じ次元で存在したのだ。

 

漫画のキャラクターだから現実には居ないはずの白石くん。それでも、画面の中には確かに本物の白石くんがいるのだ。クラスの男子たちとは違う、落ち着いていてかっこいい、大好きな白石くんが。

 

正確には白石蔵ノ介役の安西くんである。私は安西くんの演じる白石くんに夢中になった。ひとつひとつの動きも、発する言葉も、私の大好きな白石くんだったから。

 

テニミュのシーズンが終わった頃、あることに気がついた。

 

 

安西くんの次の舞台を見に行きたいと強く思ったのだ。

 

 

安西くんの演じる白石くんが好きだったはずなのに、白石くんの役以外の安西くんが見たい、安西くんに会いたい、と感じた。

ここで、不思議な冷静さで「ああ、私はいつの間に安西くん自身に夢中になっていたんだ。」と自覚したことを今でもよく覚えている。

ただ、残念なことにまだこの頃は未成年の学生である。一作品一回の観劇が限界であった。その上、安西くんはSNSでの発信やブログの更新の頻度も低い俳優さんであったため、まるで雲の上の人のように感じていた。

 

年々、安西くんの出る作品を観劇する回数も増えていった。

 

安西くんのおかげで笑顔になれる回数も増えていった。

 

安西くんのおかげで頑張れることも増えていった。

 

2018年に、今でも大好きな、忘れられない思い出ができた。ブログの更新もほとんどなく、稽古期間や公演期間以外に何をしているのか全くわからなかった状態で突然決まったセカンド写真集の発売。(後々考えれば私たちへの退社前最後のプレゼントだった。)加えて発売記念のチェキ会が決定した。

1ヶ月前からハンドクリームを欠かさず塗ってケアしたこと。奮発して新しいワンピースを買ったこと。まだ暑さの残る季節、ドキドキしながら新宿に向かったこと。チェキ会が始まる前からずっとずっと幸せな気持ちでいっぱいだったこと。全てが最高にいい思い出だ。

会場に着いてから始まるまではとても暑い中長時間待たされたことしか覚えてない。

だんだん近づく自分の番にひたすら緊張していたような気がする。

セカンド写真集発売記念のチェキ会では、くじで当たりを引いたらスマホでツーショットを撮ることが出来るというボーナスイベントが設けられた。そこまで冊数を積まなかった私だが、ここで持ち前の強運を発揮して、当たりを引いたのだ。

雲の上の存在の安西くんが隣にいて、私の肩を抱いてくれて、私のスマホを持っていて、笑顔で。

この上ない幸せだった。現実ではないと思った。実際全てがスローモーションに見えた。

「安西くんってこんなに無臭なんだ……」と感じたが、後々エゴサをしたらみんないい匂いがしたとつぶやいていたので、私は緊張と興奮と混乱で嗅覚が死んでいたのだと思う。

そんなこんなで、今思い返すとこの時が1番楽しかったと思う。

 

 

2018年の冬、安西くんの仕事は0だった。

 

 

間が空くことなく安西くんの舞台が決まっている当たり前だと思っていた私は、とてつもなく不安になった。

留学に行ってしまうのだろうか?結婚するのだろうか?事務所に干されてしまったのか?まさかクビ?

日常のふとした瞬間にも、次安西くんに会えるのがいつかわからない悲しみに襲われていた。

 

 

2019年になって、安西くんの事務所からの独立が発表された。

 

 

悲しみからは解放されたものの、不安は残っていた。当たり前だが、事務所所属の俳優とフリーランスの俳優では全く異なる。これから安西くんはどうなってしまうんだろうという漠然とした不安が、私の心には大きくあった。SNSの開設やブログの頻度が上がったことに対する驚きからかもしれない。

 

独立後、約半年ぶりに見た安西くんは、私の大好きな安西くんだった。得意の美しい殺陣、よく通る声、繊細な表情、全部全部大好きだった。公演時間が4時間越えでも、もっともっと見ていたいと思うくらい。

 

独立してからの安西くんは生き生きしていた。事務所時代が窮屈そうであった訳ではないが、なんだかのびのびしているなあと感じた。

 

安西くんが出演する舞台はやっぱりどれも面白かったし、いつだって楽しく劇場に向かっていた。

 

劇場周りの美味しいお店でご飯を食べるのも楽しかった。駅に着くのがギリギリすぎて、ハイヒールで真夏の渋谷を駆け抜けたり、真冬の人形町を猛ダッシュしたことすら楽しかったような気がする。

 

2月には一人芝居にも挑戦していた。狭い空間で、数メートル先の近い距離に安西くんがいて、ものすごい熱量を感じた。実習中だったけれど、その疲れも忘れるくらい充実した時間だった。

 

世の中のほとんど全てが停止した2020年春。

 

安西くんに会えないことがつらい日々だった。

 

ある日突然、安西くんがインスタライブをすると言った。

 

SNSに弱い安西くんが生配信をするなんて予想外であったし、少し心配であった。でも、画面越しでも元気そうな安西くんを見れることは幸せだった。

 

外カメにしてしまったり、安西くんのWiFiがカスだったり、色々あっても見ている時間は幸福だった。

 

 

でも、いつからか、インスタライブを見るのが辛くなってしまった。

他の視聴者さんのコメントを見てマイナスな気持ちになったり、安西くんの話してくれていることや価値観に同感できなかったり、今の仕事に対するスタンスを受け入れられなかったり。

はっきりと表せないけれど、見ていて気持ちが沈むようになった。

 

悲しかった。

 

安西くんを見る回数が減っていった。

 

安西くんの話を聞くとモヤモヤするようになった。

 

楽しかった思い出のチェキやツーショットを見ると自然と涙が出てきそうだった。

 

私は安西くんのことを好きじゃなくなっちゃったんだなあと、自覚したくないけれど自覚せざるを得ない、そんな状態だった。

 

これは一瞬の気の迷いかもしれない。また舞台にいる安西くんを見たら好きになるかもしれない。

 

でも、今まで安西くんに対して持ったことのない気持ちを持っていることは確かで。初めてマイナスな感情を持っている今、出会ってからの気持ちを書き留めたいと思った。

 

安西くんに「見たくない」「嫌だ」という感情を抱いたのは、出会ってから初めてだ。

 

また、好きになれますように。

 

そう祈るばかりだが、安西くんを応援することに終止符を打つかもしれないと初めて感じた今、始まりから今までを記録した迄である。

 

 

 

(追記:時系列に物事を述べるという小中学校の作文の授業で注意されるレベルの稚拙な文章でお恥ずかしい限りですが、心の整理の為に書き出した、私にとって大切な文章です。)